実りなき秋

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか

『ハチはなぜ大量死したのか』を読んでいる。
今のところ第5章まで読んだ。生物モノのノンフィクションなのに推理小説の要素が盛り沢山で内容にどんどん引き込まれていく。

この本はCCDという蜂群崩壊症候群について書かれたものである。

CCDは典型的な探偵小説そのもので、興味をそそる要素をすべて備えている。つまり、不可解な死、消えた死体、世界の破滅を招きかねない結果。その上、容疑者は山ほどいる。
本書p.95

この本はCCDを知る上での土台となる養蜂とは何かということまで解説をしている。
またこれが読みやすく、興味をそそる内容である。

蜂はただハチミツを生成しているだけではなくて、花から蜜を取る際に花粉を媒介する。
このことによって植物は授粉をし、実をつけることができる。
この作業を人間がしたらものすごく大変な作業だ。
現代の大規模農業でハチは欠かせない。ハチがいなくなるということは農作物の収穫も減るということを意味する。


ハチの重要性に改めて気付かされた。



そういえばハチは家畜のカテゴリーに入っていて、家畜伝染病予防法によって定められた法定伝染病にも腐蛆病が入っている。
獣医学、感染症学でもこの腐蛆病を学ぶ。しかし、病気を学ぶ以前に養蜂とは何か、またハチの役割は何かということを知っておくべきではないだろうか。
この本はこの役割も担ってくれた。

生物受験をしたことがある人ならば、ハチっていったら8の字ダンスか!あ〜あのセンター試験によく出ているやつね。ってイメージなのかな。そんな人にもハチの社会性とか習性を知ってもらうために読んでもらいたい。8の字ダンスなんてハチの行動のごく一部だとわかることであろう。







P.S.
この本のタイトルを聞いたときに思い出したのは『生と死の妙薬』だった。
みなさんはこの本を聞いたことがあるだろうか。

この本は『沈黙の春』とつけられる前のタイトルなのである。

沈黙の春

沈黙の春

この本も原題と同じFruitless Fallの訳である『実りなき秋』で売り出して欲しいなと思った。